台風で屋根が飛ぶ理由、長寿命屋根材、リユース可能な屋根材「タイルーフ」の思想を技術者が解説

時間を超えて台風から家を守る屋根|台風から家を守る屋根(未来編)

時間を超えて台風から家を守る屋根

〜リユースするという思想で生まれた屋根材「タイルーフ」〜

1.長期に台風から家を守る屋根材

「台風から家を守る」という機能はこれまで語ってきましたが、本コラムでは“時間を超えて台風から家を守る屋根”という視点で未来の屋根を考えます。

屋根には、台風から家を守るという大きな役割があります。

その家は、長期間使われることを期待されており、長期優良住宅制度は国が推進する大きな流れなのです。

つまり、屋根は数十年という長期間、台風から家を守る必要があるのです。

家の寿命を欧米レベルまで伸ばしたいという国の政策などは「屋根で変わる家の耐久性」で詳しく解説しています。

長期間台風から家を守るときに重要なポイントが3つあります。

1つ目は「時間に対する強さ」

2つ目は「屋根としての仕上がりの再現性」

3つ目は「世代を超えるための設計」です。

この長期間台風から家を守る3つの重要ポイントをすべて満たす屋根材は世の中に有りませんでした。

必要だけど今の世の中に無いものを見つけると創造したくなるのが開発者魂。

「時間に対する強さ」「屋根としての仕上がりの再現性」「世代を超えるための設計」の全てを満たす屋根材として開発したのが「タイルーフ」です。

屋根を世代を超えて使い続けるために、タイルーフでは「サーキュラーデザイン」の考え方を取り入れました

サーキュラーデザインとは、廃棄物を減らし、資源を循環させる「循環型経済」を製品設計段階から実現しようとする考え方です。

台風から家を守る屋根(特別編)で開発した防災平板瓦は、屋根材単体では革新的でしたが、施工方法などは従来の屋根材と同様でした。

しかし、「時間に対する強さ」「屋根としての仕上がりの再現性」「世代を超えるための設計」の全てを満たす屋根材を開発するには、施工も含めた屋根システム全体で開発することが必要だったのです。

未来に向けて持続可能な社会を作るために必要な屋根材を造りたいという思いでタイルーフを開発し、今普及に向けて活動をしています。

子供や孫、その先の世代にも受け継がれていく屋根の未来を、タイルーフで実現したいと考えています。

2.磁器セラミックスという高耐久素材が屋根に使われなかった理由

磁器セラミックスという素材は非常に高耐久で長期に家を守るためには優れた素材です。

磁器素材は、釉薬という彩色層を焼成工程にて共有結合により発色して、基材と結合しています。

その結果、有機系の塗料を彩色に使用している金属屋根材や化粧スレートと異なり紫外線劣化、熱劣化は発生しません。

金属屋根材や化粧スレートが紫外線により劣化するメカニズムは「紫外線・太陽熱から家を守る屋根(前編)」「紫外線・太陽熱から家を守る屋根(後編)」に詳しく解説しています。

また、釉薬層には微細なクラックである貫入が発生しないので陶器瓦と異なり酸性雨による釉薬の変色もほぼありません。

そんな耐久性に優れた磁器セラミックス素材が屋根で使われなかった理由が二つあります。

一つ目は、硬くて丈夫過ぎる素材だったので加工性が悪く屋根形状に合わせて取り付ける加工が現実的に困難だったこと。

二つ目は、脆性材料なので衝撃に弱く、屋根への固定時に加わる衝撃で割れてしまうこと。

この二つが障壁となり、今まで屋根材として使われてこなかった素材ですが、当社が開発した特許技術でタイルーフはその二つの理由を解消し、磁器素材の屋根材を開発することが出来たのです。

そして磁器セラミックス素材の採用は、単なる耐久性の向上ではなく、「交換しない屋根」という未来の前提を可能にしました。

3.屋根端部の施工を簡単にして固定を確実にする

台風で屋根材にもっとも風圧が掛かり飛散しやすいのは屋根の端部です。

屋根の台風被害を調査した際にも、屋根材飛散のほとんどが屋根端部でした。

屋根端部が飛散するのは二つの理由があります。

一つ目は、屋根端部に大きな風圧力が掛かるため。

二つ目は、屋根端部は屋根材の現場加工により手間が掛かり、職人の技量によっては不十分な固定になってしまうためです。

下図は建設省告示第1458号に規定されている屋根部位ごとの風圧力を計算する際に使用する図です。

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図:建設省告示第1458号 屋根部位の範囲を示す図

屋根部位で風圧のかかる度合いは、平部を基準にした場合、周辺部では1.3倍、棟端部では2倍程度になります。屋根端部が飛散する理由は科学的な根拠があるのです。

屋根端部が飛散しやすい理由は「「台風から家を守る屋根(前編)」」「「台風から家を守る屋根(後編)」」に詳しく解説しています。

タイルーフでは、屋根の端部形状を一定形状とする特許技術を用いているので屋根端部の施工は簡単です。職人の技量に関係なく確実に屋根へ固定することが出来ます。

建築工事業界において職人不足は大きな課題ですが、屋根端部の施工を簡単にすることは、職人の育成の面において有効です。

屋根端部の施工を簡単にすることは、施工品質のばらつきを減らし施工品質の向上にも寄与するので、結果的に屋根の耐風性能のばらつきを減らし、施工不良による屋根材の飛散を防ぐことになります。

職人の技能に依存しない屋根システムは、将来の人材不足時代においても安定した住宅性能を維持するために不可欠であり、長期に台風から家を守り続ける「タイルーフ」の大きな特長の一つなのです。

4.屋根材をリユースすることで未来の社会とシェアする

タイルーフはローラーハースキルンという連続焼成炉で約1200℃の高温で生産します。

生産する際には多くのエネルギーが使われ、温室効果ガスであるCO2を排出します。

しかし、この屋根材を何世代にもわたり使うことが出来たらどうでしょうか?

結果的に環境負荷を低減することが出来ます。

ライフサイクルアセスメントの考え方です。

タイルーフは、屋根材の施工性は勿論のこと、取り外してリユースすることを想定して設計開発しました。

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図:タイルーフのリユースサイクルの図

大量生産、大量消費、家も30年で建て替えるという時代は終わりました。

住宅が建てた瞬間に価値が下がり始め、30年経てば資産価値が無くなり、取り壊し費用を考えるとマイナス資産になってしまう今までの日本の住宅事情では永遠に豊かさを実感することは出来ません。

しかし、リユース前提の高耐久屋根材となれば、その屋根材が資産になり、世代を超えて受け継がれることで豊かな社会が実現できるのではと考えています。

持続可能な社会を実現し、未来の人々と時代を越えてシェアできる屋根材がタイルーフの一番のコンセプトなのです。

タイルーフは、屋根への固定構造や専用部材を長期間使用しても耐風性能が低下しない仕様で設計開発しています。

未来の人々とシェアする未来を私が見ることは難しいですが、その礎だけは私が作って次の世代に引き継ぎたいと思います。

5.まとめ:長期に台風から家を守るために

今回のコラムのポイントは次です。

    長期に住む家なので長期に台風から家を守る性能が重要

    磁器素材は今まで技術的な理由で屋根材として使えなかったが、タイルーフの開発で磁器素材の屋根材が実現した

    屋根端部の施工を単純化することは施工のばらつきを減らし、施工不良による屋根材の飛散を防ぐ

    タイルーフは持続可能な社会を実現し、未来の人々と時代を越えてシェアできる屋根材

今回のコラムでは、台風から家を守る屋根に時間的な要素を加えて開発したタイルーフを未来の屋根材として紹介させて頂きました。

これからも、屋根コラムで後悔しない屋根材選びをするために、出来るだけ分かりやすさを心がけて科学的な根拠を持った情報をより多く発信していきたいと思います。

屋根材の飛散は感覚的な問題ではなく、風圧力として定量的に評価することができます。実際の屋根に作用する風圧力については、下記のページで簡易的に確認することができます。

住宅の耐風性能を数値で確認する

建築条件を入力することで、屋根に作用する風圧力を算出し、 タイルーフの耐風性能との比較により安全性を確認することができます。

耐風性能を確認する

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筆者紹介

ルーフ エンジニア 小栗
甍エンジニアリング株式会社 代表取締役社長/屋根発明家/「タイルーフ」開発者

屋根の技術に携わり37年。

これまで多くの屋根材を開発してきた屋根技術者で防災平板瓦を発明し日本の発明家46位にランキングされた経歴がある。

これから家を建てる方、屋根のリフォームを考えている方に、屋根に興味を持ってもらい、後悔しない屋根選びをして欲しいという思いから「屋根コラム」の執筆をスタートした。

出来るだけ分かりやすく科学的な根拠を持った屋根コラムを心がけている。

屋根に関する様々なことを定性的、定量的に捉え、屋根の技術者として「こだわりの屋根コラム」を高い熱量で執筆している。

1966年10月生まれ・天秤座・O型。

趣味は音楽制作・楽器演奏・歌唱。バンドではベース、ボーカル等を担当。演奏楽器はギター、キーボード、ハーモニカ、ウクレレ、三線など多岐にわたるマルチプレーヤー。楽曲製作では、作詞、作曲、アレンジ、打ち込み、演奏、録音、ミックス、マスタリングと全ての制作プロセスを一人で行う。

好きなミュージシャンはプリンス、XTC、コステロ、デビッドボウイ、カーズ、ELO、EW&F、佐野元春、大滝詠一、坂本龍一、YMO、山下達郎、星野源など多数。

ルーフ エンジニア 小栗

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