風から家を守る屋根

風から家を守る屋根|一般施主向けコラム

風から家を守る屋根

〜風から家を守るための屋根の役割、屋根にかかる風圧力、屋根材と耐風性能の関係を知る〜

1.“風の力”から家を守る屋根の役割

家を自然環境から守る屋根の役割として、最初に思い浮かぶのは雨かもしれません。しかし、実は風もまた家に大きな影響を与える存在です。

家に求められる性能には、風の力に対して屋根が飛散しない為の耐荷重性能が規定されています。台風や爆弾低気圧がもたらす強風はもとより、近年増えている局地的な竜巻、突風、ダウンバーストなど、こうした風害の多くは、まず屋根に集中します。屋根は建物の最も高い部分にあり、外装材の中で最も大きな面を持つため、風のエネルギーが直接作用しやすいのです。

テレビなどで強風にあおられて屋根が飛ぶ映像を見たことがある方は多いでしょう。屋根材が飛ぶと雨漏りを引き起こすだけでなく、飛散物が周囲の家や車、人に被害を与える恐れもあります。“風に強い屋根”は、家を守り、家族の安全と地域の安心を守る大切な要素なのです。

2.屋根にかかる風圧のしくみ

屋根が風で飛ばされる主因は、風圧の特性にあります。風は屋根に対して「押す力(正圧)」と「吸い上げる力(負圧)」を同時に与えます。特に問題となるのは“負圧”で、風が壁面に当たり上向きに方向を変えることで屋根表面に負圧が発生し、屋根が上方向に引き上げられます。

また、風が屋根面に当たりを高速で通過することでも同様に負圧が発生し、屋根が上方向へ引き上げられます。特に屋根の端部である軒先・ケラバ・棟には局所的に大きな負圧が発生することが風の研究から分かっています。この風圧力が屋根材の飛散を引き起こすため、風害事故の多くがこれらの部位から始まります。

さらに屋根の勾配や形状によっても風の流れは大きく変わり、片流れ屋根や寄棟屋根など、形状に応じて弱点が異なります。近年は突風・竜巻・ダウンバーストといった局地的強風が増えており、台風だけでなく一年を通して風害リスクが存在する時代になっています。

3.屋根材と耐風性能の関係

気象庁の風の強さを表す指標には、建造物の屋根瓦が飛散するという指標があります。

瞬間風速30~40m/sの非常に強い風の時には「屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある。固定されていないプレハブ小屋が移動、転倒する。ビニールハウスのフィルム(被覆材)が広範囲に破れる」とあり、瞬間風速40~50m/sの非常に強い風又は猛烈な風の時には「固定の不十分な金属屋根の葺材がめくれる。養生の不十分な仮設足場が崩落する」との記載があります。

出典:気象庁『風の強さ(予報用語)』  https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.pdf

この気象庁の資料からも、屋根が風の影響を非常に強く受けることが良く分かると思います。大型の風台風が上陸した時に陶器瓦の飛散映像や、縦葺きの金属屋根材の飛散映像をよく見ますが、陶器瓦や金属屋根材は風に弱いのでしょうか?

答えは様々なケースがあるので一概には言えませんが、陶器瓦の屋根の中にはしっかりと屋根面に固定されていない屋根が実は沢山あります。現在の陶器瓦は強風でも飛散しない耐風性能が標準スペックになっていますが、25~30年前の陶器瓦は十分な耐風性能を有していない屋根がほとんどでした。

自画自賛になってしまいますが、1999年に私が開発した台風でも飛散しない「防災平板瓦」という製品を発明し、「防災平板瓦」を製品化してからは、陶器瓦は風に強い屋根材に生まれ変わった経緯があります。

風で飛散する陶器瓦屋根のほとんどは25~30年前の屋根材なのですが、長持ちする陶器瓦においては古い屋根もまだ多く残っており、大型台風や竜巻などが発生すると多くの陶器瓦の屋根が飛散してしまう現状があるのです。

4.風害を防ぐための対策

屋根の耐風性能は、屋根材だけでは完成しません。また、経年劣化による耐風性能が低下するケースもあります。非常に多くのケースがあるので、ほとんどはケースバイケースではありますが、台風などで被害にあった際には、専門家に相談できると良いと思います。このコラムを読んでいる方であれば私に相談するのも一つの手です。

屋根材が飛散する原因は、次のものが考えられます。

    ①屋根材が釘やビスで屋根下地に固定されていない

    ②屋根材が釘で固定されているが十分な耐風性能を有していない

    ③屋根材の留め付け釘が緩んでしまい固定力が失われている

    ④屋根材の留め付けをしている屋根下地が腐食してしまい固定力が失われている

大きくはこの4つが考えられます。

①は土葺きと呼ばれる陶器瓦の施工方法を用いた屋根が該当します。中部から西日本の和瓦と呼ばれている陶器瓦では多くの瓦屋根が土葺きで葺かれています。

②も陶器瓦のケースが多いです。釘で止めていても瓦表面に負圧が掛かり、テコの原理で瓦が持ち上がってしまい、飛散してしまうケースがあります。

③は金属屋根材や化粧スレートで発生するケースが多いです。特に金属屋根材は他の素材と比べて熱膨張率が高く、夏場の暑さと冬場の寒さを繰り返すことで屋根材の膨張収縮が繰り返され、屋根材を固定する釘が抜けてくるという現象が発生することがあります。金属屋根材はとても軽いので留め付け力が無くなるとすぐに飛散に繋がってしまうというリスクがあります。

④は特に棟板金を固定する貫板(固定木材)が腐食すると発生します。このパターンは化粧スレートのケースが多いです。被害が発生した際には、その発生原因をしっかりと究明し、根本的な対策を打つ必要があるのです。

5.まとめ:自宅の屋根が風に強い屋根かどうかを知ることが対策の一歩

今回のコラムのポイントは次です。

    地球温暖化の影響で屋根に対する風の被害が増えている

    屋根材が飛散してしまうと対応が大変

    屋根材の飛散の原因を究明しないと根本的な対策が打てない

    経年劣化により耐風性能が低下するケースがある

気候が変動し、台風だけでなく突風や竜巻、ダウンバーストが増える今、“風に強い屋根”は非常に重要です。強風で自宅の屋根が飛散してしまうのは雨漏れ事故に繋がり、家の劣化にも大きく影響します。

時代毎に屋根材の耐風性能が異なったり、経年劣化により耐風性能が低下してしまったりと様々なケースがあるので、専門家に相談できる環境を、弊社とタイルーフの認定施工店のネットワークで作っていきたいと考えています。

筆者紹介

ルーフ エンジニア 小栗
甍エンジニアリング株式会社 代表取締役社長/屋根発明家/「タイルーフ」開発者

屋根の技術に携わり37年。

これまで多くの屋根材を開発してきた屋根技術者で防災平板瓦を発明し日本の発明家46位にランキングされた経歴がある。

これから家を建てる方、屋根のリフォームを考えている方に、屋根に興味を持ってもらい、後悔しない屋根選びをして欲しいという思いから「屋根コラム」の執筆をスタートした。

1966年生まれ・天秤座・O型。

趣味は音楽制作・楽器演奏。

好きなミュージシャンはプリンス、XTC、佐野元春、坂本龍一など多数。

ルーフ エンジニア 小栗

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