【2023年最新】屋根材5種類を徹底比較!失敗しない選び方も解説します

「自分の家にピッタリの屋根材を知りたい…」

「屋根材の種類ごとの特徴や耐用年数、価格を知りたい…」

「屋根リフォームで失敗しない屋根材が知りたい…」

この記事を見ていただいているということは、こういった悩みを抱えていませんか?
屋根材選びは専門的な知識が必要で、業者まかせになっている場合が多いです。
ネットで検索しても多くの情報が出回っているので、自分にピッタリの屋根材がわからなかったりしますよね。

そこで本記事では、“ルーフDr.カズ”が屋根材について徹底的にお伝えしていきます。

最後まで読んで頂ければ、あなたにとって最適な屋根材が見つかります。
是非参考にしてください!

ルーフドクターカズ
ルーフDr.:カズ

国内の屋根材メーカーで、四半世紀商品開発を行ったあと会社を立ち上げ、自社での技術開発と並行して、数々の屋根部材メーカーの技術系コンサルタントとして活動しています。
過去には、日本の発明者のランキング46位になった実績があります。瓦業界では実質一位の屋根発明家でもあります。

1.屋根材の種類

日本における伝統的な屋根材は、藁葺き、茅葺き、板葺き、銅板葺き、瓦葺きといった屋根材です。
近年は、セメント瓦、化粧スレート、アスファルトシングル、ガルバリウム鋼板を素材とした金属屋根などがあります。
現在戸建て住宅に使われる屋根材としては、シェア的に①金属屋根材②化粧スレート③粘土瓦④アスファルトシングル⑤石付き金属屋根の5種類を考えればよいでしょう。
現在の戸建て住宅に使われている屋根材のシェアとしては、金属屋根材35%、化粧スレート27%、粘土瓦24%、アスファルトシングル9%、石付き金属屋根5%という状況です。

まずは屋根材ごとの違いを理解してみましょう。

2.屋根材ごとの特徴とメリット・デメリット

①金属屋根材

金属屋根材は、軽量で耐久性に優れ、様々な色や形状に加工できるので、建物の外観を美しくすることができます。そのため、近年人気が高まっています。

メリット

  • 0.4㎜の薄い鋼板を加工して屋根材にするので、他の屋根材と比べ軽い
  • 住宅の補強工事がいらない
  • 太陽光発電システムを載せても軽量化出来るので地震の際に有利
  • 熱伝導率が高いため、夏は屋内を涼しく保ち、冬は屋内を暖かく保つことができる

デメリット

  • 熱が伝わりやすく、小屋裏が熱くなりやすい
  • 上記のことからルーフィングという下葺き材の劣化が早い
  • 音が伝わりやすいので、雨音が気になる
  • 熱による膨張収縮で屋根下地に固定した釘が抜けてくると台風の時に飛散してしまう
  • 勾配がきついと雨水の流れが速くなり、樋からオーバーフローしやすい

②化粧スレート

化粧スレートは、イニシャルコストが安く施工が簡単なため、多くの住宅で使用されています。しかし、耐久性が低いため、定期的なメンテナンスが必要であり、寿命も短いため、長く使用するとメンテナンスコストが高くなる可能性があります。

メリット

  • イニシャルコストが安い
  • 施工が簡単
  • 重量が軽い
  • デザインが豊富

デメリット

  • 耐久性が低い
    ┗紫外線・酸性雨・熱により塗膜が10年程度で劣化する
  • 定期的に再塗装のメンテナンスが必要
  • 寿命が短い
    ┗30年くらいで葺き替えが必要
  • メンテナンスコストが高くなる

③粘土瓦

粘土瓦は、耐久性やデザイン性に優れた屋根材ですが、重さや施工に手間がかかるなどのデメリットもあります。

メリット

  • 耐久性が高い
    ┗厳しい環境(紫外線・高温による劣化、凍害、塩害、酸性雨など)でも劣化しない
  • メンテナンスコストが安い

デメリット

  • 重い
    ┗住宅の構造を頑丈に作らなければ耐震性に問題が出る
  • 施工に手間がかかる
  • イニシャルコストが高い
  • 品質的なばらつきがある

④アスファルトシングル

化粧スレートは、イニシャルコストが安く施工が簡単なため、多くの住宅で使用されています。しかし、耐久性が低いため、定期的なメンテナンスが必要であり、寿命も短いため、長く使用するとメンテナンスコストが高くなる可能性があります。

メリット

  • イニシャルコストが安い
  • 施工が簡単
  • 軽量

デメリット

  • 耐久性が低い
  • メンテナンスコストが高い
  • 耐風性能が低い

⑤石付き金属屋根

石付き金属屋根は、軽量で意匠性に優れた屋根材です。また、雨音の遮音性や遮熱性も高く、近年人気が高まっています。しかし、イニシャルコストが高いため、注意が必要です。また、アクリル樹脂の耐久性が懸念されているため、今後の実績を注視する必要があります。

メリット

  • 軽量性
  • 意匠性
    ┗金属屋根を粘土瓦のように立体的な形状に成形しているため、高級感を感じられる
  • 雨音の遮音性・遮熱性
    ┗金属屋根と比べて改善されている

デメリット

  • イニシャルコストが高い
  • アクリル樹脂の耐久性が懸念される
    ┗日本での実績は短いため、未知数である

3.失敗しない屋根材の選び方 6つのポイント

① 防水性② 耐久性③ コストパフォーマンス④ 遮音性⑤ 耐震性⑥ デザイン

失敗しない屋根材の選び方として注目したいポイントは、以上の6つです。それでは各ポイントを見てみましょう。

① 防水性

屋根の機能の中で最も重要なものが雨仕舞い(=防水性など)です。
防水性と大きく関係する屋根の要素は屋根の勾配です。勾配とは屋根の角度のことで、これをどうするのかが重要になります。
基本的には、屋根勾配は大きい方が防水性能的には有利です。
ただし、金属屋根の場合、表面が平滑なので勾配が大きいと水の流れが速くなり、樋に入らないという別の問題が発生します。
新築住宅には10年の防水瑕疵担保保証というものがあり、10年間は雨漏りをしても保証がありますが、保証が切れてからが大きく変わってきます。
10年後、問題が発生する可能性のある屋根材は次のとおりです。
・0.5~1寸程度の緩勾配におけるガルバリウム鋼板屋根とトタン屋根
・スレート屋根
・2.5寸程度の緩勾配における粘土瓦
耐久性や強度、屋根材の特性などを考慮すると、これらの屋根材はリスクが高いと言えます。

② 耐久性

あまり注目されていないですが、大切なポイントに下葺き材の耐久性があります。屋根材と下葺き材の掛け合わせで屋根の耐久性を考える必要があるからです。
下葺き材の耐久性には紫外線劣化は関係ないので、重要なのが熱劣化です。つまり、熱を伝えやすい屋根材は下葺き材が劣化しやすく、熱を伝えにくい屋根材は下葺き材が長持ちするということになります。


【屋根材と下葺き材の掛け合わせによる耐久性】
粘土瓦>ガルバリウム鋼板屋根=石粒付鋼板屋根>スレート屋根=シングル屋根

③ コストパフォーマンス

屋根にかかるコストは、最初に屋根を作る際のイニシャルコストとメンテナンスに掛かるランニングコストに分類されます。
屋根は住宅の中で最も過酷な自然環境にさらされた部位です。
過酷な自然環境だけに劣化が激しく、屋根材の耐久性が高くないとメンテナンスのためにランニングコストが掛かってしまいます。今までの風潮として、イニシャルコストの比較で屋根材のコストを語っていましたが、本来はイニシャルコストとランニングコストの両面から判断する必要があると思います。
イニシャルコストは、屋根材コストと施工に掛かる工事コストです。
ランニングコストの場合、足場コストがプラスされ、葺き替えになった場合は廃材処理費なども掛かり、イニシャルコストよりも高くなります。
つまり、コスト重視で屋根材を選ぶのであれば、耐久性が高い屋根材を選ぶのが良いということになります。
耐久性が高い屋根材だと「粘土瓦」が候補にあがりますが、粘土瓦の場合”重い屋根”に分類されるため、住宅の壁量が多くなり、屋根材のコスト以外に住宅の構造コストが上がってしまうためです。この点を考慮する必要があるのです。
コスト重視で屋根材を選ぶ場合は、軽い屋根材であり、かつ耐久性の高い屋根材が最も良いです。


【60年間で屋根にかかるコスト】
粘土瓦>金属屋根=石粒付鋼板屋根=シングル屋根>スレート屋根

④ 遮音性

遮音性というのは実は意外に重要な要素です。屋根材の厚みと下葺き材との密着度により遮音性の性能値が変わってきます。
ガルバリウム鋼板屋根やトタン屋根の場合、厚みは0.4㎜程度で下葺き材に密着しているので、遮音性は低くなります。遮音性で問題が出るのはガルバリウム鋼板屋根とトタン屋根で、その他の屋根材は遮音性を考慮する必要はないでしょう。
【遮音性性能比較】
粘土瓦=スレート屋根>シングル屋根=石粒付鋼板屋根>金属屋根

⑤ 耐震性

耐震性は屋根材の重量で変わってくるため、屋根材の重量比較ともいえます。
耐震性で問題があるのは粘土瓦とセメント瓦で、その他の屋根材は耐震性を考慮する必要はないでしょう。


【屋根材ごとの耐震性】
金属屋根>石粒付鋼板屋根>シングル屋根>スレート屋根>粘土瓦

⑥ デザイン性

屋根のデザイン性に関しては、都心部に住むのか郊外に住むのかによって、考え方が変わります。
都心部に住む場合密集した都会の住宅地に住宅を建てるので、外からほぼ屋根を見ることはできません。そんな屋根が見えない場所に住宅を建てるのであれば、屋根のデザインよりも壁のデザイン重視で考えることになります。
都会の戸建て住宅では土地を有効活用するためにも、軒ゼロ住宅で壁のデザインにこだわったキュービック型の住宅が良いと思います。キュービック型の住宅であれば、金属屋根がお薦めです。
金属屋根の立平屋根であれば、ほぼフラットに見える3°(0.5寸勾配)の屋根勾配で屋根を作ることができます。勾配も小さいので屋根面積も小さくなり、非常に効率的です。
郊外の住宅地に住む場合、屋根のデザインは住宅のデザインの大きな要素となります。
屋根を見せるデザインの場合、屋根勾配は20°(3.5寸勾配)以上が好ましいです。
快適に生活をするには、軒を深くして屋根で日差しを避けつつ風通しを良くするのが良いです。
屋根を見せる場合は、耐久性の高い屋根材として粘土瓦を選ぶのが良いです。
大きく見える屋根が、経年劣化で白っぽく褪色したりコケや藻類などで汚くなったりすると、住宅全体がみすぼらしく見えてしまいます。また見栄えの問題だけでなく、屋根材の劣化から屋根下地の劣化まで進んでしまうと、かなり大掛かりな住宅の補修が必要となるケースもありますので気をつけてください。
粘土瓦のように耐久性が高いものは、新築時と変わらぬ美しさがあり、塗り替えのメンテナンスコストも掛からないというメリットがあります。

4.ルーフドクターがおすすめする屋根材!

粘土瓦 F形(平板瓦)


耐震性に課題がある粘土瓦ですが、家の構造を重い屋根でも大丈夫なようにコストを掛ければ問題が無くなります。
イニシャルコストを気にしなければ、粘土瓦のF形(平板瓦)はデザイン的にも高級感があり、お薦めです。
フラットでありながら、ボリューム感のあるデザインは高級感を醸し出します。 また、防災瓦であれば、大型台風でも安心できる耐風性能を備え、大地震でも脱落しない防災瓦ですので長期に住宅を守ってくれます。

粘土瓦F形(平板瓦)

軽量セメント瓦(ROOGA)

屋根材のシェアとしては非常に低いので紹介しませんでしたが、セメント瓦を軽量化した軽量セメント瓦という屋根材があります。
この軽量セメント瓦の中で最も人気があるのが「ROOGA」という商品です。この「ROOGA」は、土葺きの和瓦と比べると重量は1/4となり、屋根を葺き替えるだけで耐震性が向上します。
1981年に変わった新耐震基準では、震度6強から7程度の大地震でも倒壊しない構造になっていますが、それ以前の旧耐震基準の住宅では震度5程度の地震で倒壊しない構造であり、震度6を超える大地震が来た場合、倒壊の危険性があります。
1981年以前の住宅の屋根は和風の瓦屋根が非常に多く、土葺きの場合はさらに屋根が重くなり、地震の時に倒壊の危険性が高くなります。
これらの条件がそろった住宅の屋根にはROOGAが最適です。
和瓦の場合、ROOGAの「雅」というタイプがデザイン的に最もマッチしお薦めです。

5.まとめ

以下に屋根材ごとの特徴をまとめました。

防水性耐久性コスト遮音性耐震性デザイン
粘土瓦緩勾配は注意デコラティブ
化粧スレートシンプル
アスファルトシングルシンプル
ガルバリウム鋼板屋根緩勾配は注意シンプル
石付き金属屋根シンプル

ハウスメーカーにすべてを任せるのではなく、施主側も屋根材の特徴を理解することが大切です。
この記事を参考に、どれがもっとも自分に適しているかを判断して、失敗しない屋根材を選んでみてください。

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