皆さん、こんにちは。
社長の小栗です。
今回のブログは、2024年になって初めてのブログになります。
ちょっとさぼっていました。すいません・・・・
今日は、屋根材の専門家として能登半島にある能登瓦について書きたいと思います。
その前に令和6年能登半島地震のことを少し。
2024年1月1日午後4時10分に石川県能登半島地方の深さ15キロを震源とするマグ二チュード7.6、最大震度7を観測する大地震が発生しました。
私が住んでいる愛知県半田市でも震度4の揺れがあり、とても怖い思いをしました。
被災された皆様、また、ご家族・関係者の皆様にはあらためて心よりお見舞い申し上げます。
さて、屋根材の専門家である私が被災地の状況を見るたびに感じることは、倒壊した家の屋根には瓦屋根が多いなぁという事です。
被害が最も多かった能登半島では瓦屋根の比率がとても多いです。
その理由は、石川県の能登半島がもともと瓦の産地だからなんです。
能登半島で作られる瓦は能登瓦と呼ばれています。
昭和50年代初頭に能登瓦は最も多く作られていました。
しかし、その後は三州瓦が多く流通するようになり、さらにその後スレート屋根材や金属屋根材なども使われるようになり、能登瓦は減少の一途をたどっています。
現在は能登にある1社のみが能登瓦の窯元として生産しているようです。
被災地の映像のように光沢のある黒色の瓦が能登瓦の特徴です。
通常の陶器瓦は表面のみ釉薬を塗りますが、能登瓦では、表面だけでなく裏面まで釉薬が塗られています。
両面施釉の理由は、耐寒性の向上、耐塩害性の向上などと言われています。
ちなみに、現在流通している光沢のある黒色の瓦は、能登瓦の色を再現した三州瓦です。
三州瓦は愛知県の西三河を中心に作られている瓦であり、日本で最も多い瓦の産地が三州瓦なんですね。
三州瓦の場合、釉薬は裏面には塗られずに表面のみの施釉となります。
三州瓦では生産工程上の都合で片面しか塗ることが出来ないんですね。
地震の被害の写真や映像では裏面まで施釉されている能登瓦が多いように感じます。
それは、被害のあった住宅の多くが昭和56年以前の旧耐震基準の家屋であり、その時代の能登半島では能登瓦が多く作られ、使われていたことが理由だと思います。
日本海側では塩害の影響が強く、塩害に強い陶器瓦は好まれていたんですね。
ただ、地震になると屋根が重いのは地震の揺れの影響を強く受けるので倒壊のリスクが高まってしまいます。
瓦屋根は特に日本海側においては気候にマッチし、耐久性に優れた良い屋根材だと思うのですが、地震のことを思うとなかなか難しい問題がそこにはあるのだとあらためて感じています。
今日はこれで終わります。
今日の写真は蔵元の屋根に葺かれている三州瓦の写真です。
それではまたブログでお会いしましょう!